一昔前、まだ幼い子供だった頃。
繁華街の街角に占い師の方が小さな明かりを燈し、丸椅子を置いてお客様を鑑定していた光景を見たことを思い出します。同じように覚えている方もいらっしゃると思います。
子供心に蝋燭の薄明かりが揺ら揺らする光景が薄気味悪く残像で残っています。
今ではほとんど見ることが有りません。
「心は顔に出る」と世間では言われていますが、本当のことです。
「心」はその人の顔に現れているのです。
毎日、通勤の途中でお会いする方、お買い物先のデパートの中ですれ違う方、すれ違う電車やバスの乗客の方......心の状態がよく解ります。
人相が良いとか、悪いとか......その方の心が現れているのです。
まだ学生の頃、渋谷駅でコンサートに行く為に、友人と待ち合わせをしていました。
駅の中央通路で30m位から先から、こちらに向かって真直ぐに歩いてこられる女性がいました。
30m先からでも、はっきりと私を見つめています。黒髪は肩までのボブスタイル。大きな瞳は黒く、30歳位の小柄な色の白い美しい女性です。
その方は微笑みながら私の目の前に来て「あなたの両手には仏眼相が有りますね。」と言われました。
見ず知らずの方ですが、最初に彼女を見た瞬間から、私と同じ感覚が有る方だと気付いていましたので「はい、私には仏眼相が有ります。」と答え両手を彼女の前に差し出してお見せしまして。
私の両手の指の関節には10本中8本に仏眼相(仏様の眼の様な形をした節)が存在します。
両小指だけは筋が薄いのです。
彼女は私の両手を見て顔を上げると「いつでも仏様がお守り下さっていますね。」と微笑みながら言われ、両手を胸の前で合掌されお辞儀をして私の前から去って行かれました。
その一部始終を、到着した友人が後ろから見ていました。
友人は話した内容も聞こえていたようで、「何でその後、何も言わなかったの?」と不思議そうな顔で驚いていました。
何も言う必要は無いのです。
その女性の方は両手全部に仏眼相が有るのです。
穏やかなお顔に出ていました。
確認しなくても解かりました。
心の美しい清らかな方です。
彼女も多くの人が行き交う雑踏の中で私が見えていたのです。
その日は一日中、暖かな気持ちになりました。
素敵な日になりました。
心は顔に出ます。いつも優しい心、穏やかな心、健やかな心を保てるように日々暮らしたいものです。
合掌